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理性的表現クライシス

これまでの理性的でルールに従順な表現を捨てて、より本能的なものに切り替えることで、既存の表現スタイルを壊して革命を起こそうという試みです。

卒業写真

夢日記(リメイク版)

 卒業式が始まる前にいったん教室に集まることになっていたので、私も自分のクラスに向かった。

 私の怖れに反して、昨夜あの化けものエビは戻ってこなかった。有名な怪談のメリーさんのように、電話をかけてくるようなことも。

 それでも、まだ完全に安心することはできなかったけれど。

 教室の中に入ると女子が集まって何やら騒いでいる。

「ねえ、ネイルしない?」

 こちらから話しかける前に、その中の一人からお誘いがかかった。

「いや、私は自然なままでいい」

 遠慮がちに、だけどはっきり断ると、それならばと黒一色でユリの紋章が印刷されたシールを手渡された。

「ありがとう」

 今度は素直に受け取って、両手の甲に一枚ずつ貼り付けた。

「はーい、そろそろ廊下に出ようか。男女別出席番号の早い順に前から二列で整列するんだぞ」

 緊張気味に入ってきた担任の声で、みんなが一斉に廊下に並び始めた。

 私も自分の位置についた。ところが、私の前と後ろの生徒が自分の番号を忘れてしまったらしく、「私が前だったよね? あれ、やっぱり逆かな?」と、くるくる入れ替わってばかりいた。

 彼女たちは、体育館に移動し始めてもまだ私の周囲を惑星のように回り続けていた。

 卒業式を終えて教室に戻ると、ちょうどクラス写真を撮り終えたところだった。それはないだろう、と内心泣きそうになりながらも、表面上は明るく取り繕って「もう一回撮ってよ」とカメラマンさんにすがった。

 それから、自分の席につこうとしたのだけれど、私のところだけ誰も座れないくらい狭くなっていた。

 どうしたものかと周囲を見回すと、みんな席順など無視してバラバラに座っていたので、私も特に仲良くもない子の隣に座った。それから、バレないように仲良しのふりをして、無事に記念撮影をやり過ごした。

 そこに去年の卒業生が乱入してきて大騒ぎになった。すぐに先生が先生が追い払ったのだけれど、その卒業生の彼女があとでこっそり連れ戻しているのを私は見た。

 やがて教室でのお別れ会もお開きとなり、私は真っ直ぐ帰宅した。

 自宅が今日撮影した写真のプリント会場になっていたので、両親と一緒に写真を仕分けする作業を手伝った。ポストから差し入れられた注文用紙を確認して、番号の写真を集めて再びポストから外に送り出す。

 ポストの隙間は細く、家の中は真っ暗なので、向こうから姿を見られることはない。

 そのことが私を安堵させた。

 写真をポストに差し込む前に、ちらりと内容を盗み見すると、それは単なる普通紙にモノクロで印刷されただけのものだった。

 

あとがき

は高校を中退しているので、卒業式には出ていません。たぶん、それでこんな夢を見たのでしょう。