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理性的表現クライシス

これまでの理性的でルールに従順な表現を捨てて、より本能的なものに切り替えることで、既存の表現スタイルを壊して革命を起こそうという試みです。

葬儀と慣れ

それから何年後かの夏。私は勤め先のビルの百階からエレベーターに乗り込んだ。この機械は少し変わっていて、中にシートベルト付の座席が並んでいる。そして、ジェットコースター並みの勢いで急降下するのだ。 こんなに飛ばして事故でも起こったら……。そう思…

小説の赤ペン先生/入賞前祝い/カステラ一本食い

さっそく書き上げた小説を印字して、一番発表時期の早い新人賞の応募会場に持ち込んだ。 すでに長蛇の列ができていたので、大人しく最後尾に加わる。この新人賞はその場で選考委員が添削してくれる仕組みになっているらしい。まるで赤ペン先生だ。 待ってい…

夢心中

今だってまだ十分若者に分類される年齢だけど、それよりさらに若いころ、不治の病に侵されて悲劇の最期を遂げる自分をよく妄想していた。 妄想している分にはなんだか気分が良かったけれど、実際にそれが現実化した今となっては、恐怖や不安しか感じられない…

卒業後の夢

卒業後は作家になるつもりでいたので、周りの子たちのように、泣いたり吐いたりリスカしたり精神安定剤にすがったり開き直ったりしながら面接に奔走するようなことはしなかった。 代わりに、公園や美術館に出掛けたり、星空を眺めながら夜の散歩をしたり、自…

変身願望

写真のプリントの受付時間が終了して、いよいよ最後の制服を脱ぎ捨てるときがやってきた。 家の中なのに、父と母、それに弟までもが紙状になってカーテンのように私を取り囲んだ。さあ、安心して着替えなさい、とでも言わんばかりに。 「外に厄介な奴らが待…

卒業写真

卒業式が始まる前にいったん教室に集まることになっていたので、私も自分のクラスに向かった。 私の怖れに反して、昨夜あの化けものエビは戻ってこなかった。有名な怪談のメリーさんのように、電話をかけてくるようなことも。 それでも、まだ完全に安心する…

逃げだすエビ

最近、水槽でエビを飼い始めた。小さいのが数匹と、あと、こぶしほどもある真っ赤なのが一匹。ペットショップで買ってきたときは他のと同じくらいのサイズだったのに、いつのまにかこんなに肥大化してしまったのだ。 いったい、何を食べているのだろうか? …